ドメーヌ・バンサン・ジラルディン（Ｄｏｍａｉｎｅ　Ｖｉｎｃｅｎｔ　Ｇｉｒａｒｄｉｎ）

2.ワイン作りについて

クレールの畑は化学肥料の過投入と除草剤の適用、機械摘み取りにより、荒れ果てていました。バイオダイナミズムに基づく再生と植え替えが進められています。

その他の畑の管理手法は伝統的です。自身のカッテイングによる接ぎ穂を好みますが、クローン苗も使います。元気の良すぎる畑では畝のあいだに牧草を植え葡萄と競わせ精力を殺ごうとします。

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醸造手法は進化してきました。赤ワインの趨勢はより熟した葡萄から抽出し過ぎを避ける傾向にあり、ジラルディンもそれに従っています。摘み取りを遅らせ、良く成熟したタンニンを確保します。通常茎は完全に徐去しますが、良いビンテイジの時は多少残します。４－５日のコールドマセレーションの後、天然のイーストだけで発酵させ、期間は１０日前後、長くとも１５日を超えることはありません

1.クリマとワインについて

　赤、白両ワインともトップクラスにあります。バンサンの目指すフルーティなアロマとバランスを具現しています。良いビンテイジのものは、村名ワインでもクリュ・ワインに匹敵します。


プュリニイの最良のプレミア・クリュであるホラテイエールではクリマの斜面の上部と下部の別れた区画の畑があります。下部のワインのベースと力強さに上部のアロマとエレガンスをミックスしたブレンドは最高の出来です。

２０ｈａ弱の畑とムルソー近郊に最新鋭のワイナリーを持っていますが、１９８２年、２０歳の時、父親からサントニイの畑の1/4を相続した際には、3ｈａにすぎませんでした。この成功はドメーヌの経営と並行してすすめてきたネゴシアン・ビジネスによるところが大です。ネゴシアンとして有力な農家と緊密な関係を結び、優良なクリマとその葡萄を熟知し、優秀なワイン・メイカーとしての技量をもち、少なからぬ量のワインを市場に提供してきました。ネゴシアンサイドの利益を畑や設備の投資へ回し、拡大を続けてきました。

白ワインはプレス後２４－１８時間落ち着かせた後、トップ・ワインは２２８リットルの、村名や地域ワインは５００リットルの桶で醸造します。大きい桶の利点は樽の香りの影響が薄まることです。発酵温度は１６度Ｃだと新鮮なフルーティな香りが新ワインに現れるが、うまく熟成しないとして、１８度Ｃを理想としています。

２０００年当時はアメリカの輸入商の要請で新樽を90％使っていましたが、２００８年ではブレミア・クリュで25％、グラン・クリュで35％に落としています。しかし樽での熟成期間は１８ｹ月と延長しています。澱との接触期間が長いとアロマを増しますし、出荷時にフィルタリングが不要になるメリットがあります。

１９８２年の最初のビンテイジから良質のワインを生産し、高品質の評価を確立しました。当初借地と葡萄の受託で、１０年足らずのうちに規模を４倍に拡大しました。９０年代に入り、ネゴシアン・ビジネスの範囲をサンテニーから周辺のモンラッシュ、ボルネー､ﾎﾟﾏｰﾙ、ムルソー、シャロネーズへと拡大しました。アメリカやヨーロッパ市場での成功により、サントニイの本拠が手狭になり、２００２年にムルソーに最新鋭のワイナリーを建設し、移転しました。その年にプュリニイのドメーヌ・アンリ・クレール（Ｄｏｍａｉｎｅ　Ｈｅｎｒｉ　Ｃｌｅｒｃ）の10ｈａの畑の１８年のリース契約を獲得しました。これにより規模が倍増しただけでなく、初めてモンラッシュのグラン・クリュにアクセスできるようになりました。