グラン・クリュのクリマの中で、モンラッシュが最高であり、シャルドネから作られるワインの最も完成された形であると言われています。現地でも４００－５００ユーロするので、残念ながらまだ味わったことがありませんが、例外なく言われるのは、芳醇でストラクチャーがあり、長持ちし、他のワインにないエクストラがあるというものです。その次に良い畑は上にあるシュバリエで、斜面の下に下がるに従い、質は下がるそうです。モンラッシュの質の決め手を明らかにするため、詳細な土質成分の調査が行われています。マグネシュウム、リチュウム、鉛、亜鉛、銅、ストロンチゥムなどの微少成分が葡萄の成熟に寄与するのだろうと言われています。しかし、決め手は表土の深さと排水のバランスおよび西からの寒風をさえぎる地形ではないかと、作り手は言っています。
（“Terroir” ｂｙ James Ｅ. Wilson）
5つの白ワインのグラン・クリュがプュリニィとシャサンニュの境界に展開されています。そのうちの2つ、モンラッシュ（Ｌｅ Ｍｏｎｔｒａｃｈｅｔ）とバタール・モンラッシュ（Ｂａｔａｒｄ-Ｍｏｎｔｒａｃｈｅｔ）は両者が共有します。シュバリエ・モンラッシュ（Ｃｈｅｖａｌｉｅｒ-Ｍｏｎｔｒａｃｈｅｔ）とビヤンブニュー・バタール・モンラッシュ（Ｖｉｅｎｖｅｎｕｅｓ-Ｂａｔａｒｄ-Ｍｏｎｔｒａｃｈｅｔ）はプュリニイのみにあり、クリオ・バタール・モンラッシュ（Ｃｒｉｏｔｓ-Ｂａｔａｒｄ-Ｍｏｎｔｒａｃｈｅｔ）はシャサンニュのみに所在します。
一流の作り手はルイス・カリヨン・エ・フィス（Ｌｏｕｓ Ｃａｒｉｌｌｉｏｎ ｅｔ Ｆｉｌｓ）とレフレーブ（Ｌａｆｌａｉｖｅ）です。それに次ぐのが、オリピエ・レフレーブ・フレール（Ｏｌｉｖｉｅｒ Ｌｅｆｌａｉｖｅ Ｆｒèｒｅｓ，Ｓ．Ａ．）、ポール・ペルノ・エ・フィス（Ｐａｕｌ Ｐｅｒｎｏｔ ｅｔ Ｆｉｌｓ）、シャトーデ・プュイリニイ-モンラッシュ（Ｃｈâｔｅａｕ ｄｅ Ｐｕｌｉｇｎｙ-Ｍｏｎｔｒｃｈｅｔ）、エティエンヌ・ソーゼ（Ｅｔｉｅｎｎｅ Ｓａｕｚｅｔ）などです。
ピュリニュイ・モンラッシュ（Ｐｕｌｉｇｎｙ-Ｍｏｎｔｒａｃｈｅｔ）のクリマについて
ムルソーから広がる広い南東斜面にはピュリニイ-モンラッシュ、シャサンヌ-モンラッシュ（Ｃｈａｓｓａｇｎｅ-Ｍｏｎｔｒｃｈｅｔ）と白ワインの産地が続きます。ピュリニイ-モンラッシュはその核心に位置し、世界で最も偉大な白ワインの産地と言われています
（“The Wine of Burgundy” ｂｙ Clive Coates）
プレミア･クリュの畑はグラン・リュの畑と同じ標高の斜面にムルソーの方向へ向かって広がっています。良い畑はグラン・クリュに近く、同じような条件のクリマです。モンラッシュの横のカイエレ（Ｃａｉｌｌｅｒｅｔ）とバタードの横のプュセル（Ｐｕｃｅｌｌｅｓ）がベストです。良いビンテイジのものはグラン・クリュのものに匹敵します。
プュリニイィ・モンラッシュには21.09ｈａのグラン・クリュと１００．１２ｈａのプレミア・クリュ、114.22ｈａの村名ワインの畑があります。生産量の半分はネゴシアンに葡萄で卸され、更に25％はバルク・ワインでやはりネゴシアンに卸されます。残りの25％がドメーヌ・ボトリングであるに過ぎません。地下水位が高いために地下室が作れないので、空調設備がない時代には地上のセラーでは夏を越せなかったことと、畑の所有が細分化されていて経済的規模のワインがつくれなかったことが、原因です。モンラッシュのワインはネゴシアン物が多いのですが、例外なく良いできだということです。
これらのクリマはピュリニイの集落の南西側の斜面の標高280ｍから230ｍの間に平行して南北に延びています。上からシュバリエ、モンラッシュ、バタール、ビヤンブニューの順です。シュバリエは傾斜が１５度と急で、モンラッシュとの間に断層があります。モンラッシュから下は３度のなだらかな傾斜に変わります。シュバリエの土はバジョシアン石灰岩とその風化した石灰質です。モンラッシュから下のグラン・クリュ内のクリマは同じ断層帯にありますので、バソニアン石灰岩の基盤は同じですが、標高が下がるほど傾斜が緩やかになるため、表土が深くなります。全体に小石交じりですが、下へいくほど粒が細かくなります。
