celevewiner

ナポレオンの警護隊長であったクロード・ノワソッ(Claude Noisot)はフイスィン(Fixin)の出身で、エルバ島への流刑にも同行したほどの崇拝者でした。故郷に戻り、プレミアム・クリュ、オー・シュウソット(AuxCheusot)をクロ・ナポレオン(Cloe Napoleon)と改名、ナポレオンの銅像やセントヘレナの住居のコピーを建設したりしています。　ここは現在はナポレオンの記念館になっています

当然ワインについても助言受けていたでしょう。1969年に最後の国民投票に敗れた後にも、「これに気落ちしてはならない。メオのワインを持ってきてくれ．」と言って、1965年物のクロ・ドゥ・ブージョに慰めを求めたと言うことです。
(この話を聞いて、4年しか経っていない、ずいぶん若いワインを飲むんだなと思いました。)

壜に”Ｎ”の刻印をし、幾多の遠征にも常に帯同していたと言います。ロシア遠征にも帯同しましたが、撤退する時コサック騎兵に略奪されました。戦後ロシアからナポレオンのワインと称するものが大量に流入しましたが、すべて偽物でした。ワイン・ｽカムの古典的例です。なにしろ、世界の3大スカマーはロシアと中国とナイジェリアだそうですから。

ナポレオンが愛したのは、コート・ドールの北部にあるシャンベルタンのワインです。いつも水で割って飲んでいたようです。あまりワイン通ではないのかなと思いましたら、ギリシャ・ローマ時代から革命前のフランス宮廷まで、ルイ14世も含め、上品な人々は皆水で薄めて飲んでいたようです。ナポレオンもこれを真似したのでしょう。

コルトン・シャルマーニュの畑へ行ってみると、右の写真のように確かに南から南西斜面ですが、西側の谷は北西方面へ大きく広がっていて、北からの寒気の入りやすい地形です。

それに標高も高いこともあり、東斜面より寒いので、寒さに強いシャルドネが向いている場所なのでしょう。

シャルマーニュ大帝の愛したワインはニュイとボーヌの中間にあるグラン・クリュの白ワイン、コルトン・シャルマーニュ(Corton Charlemagne)と言われています。この神聖ローマ帝国初代皇帝が、コルトンの葡萄園を再興したのは歴史的事実です。祖父のシャルル・マルテルが、当地の教会が異教徒の叛乱に加担していると疑い破壊したものを、回復させたのです。コルトン一帯は赤ワインの産地ですが、コルトンの丘の頂上近くの南斜面に白ワインの畑が広がっています。伝説によれば、大帝がこの赤ワインを愛飲していましたが、歳をとり白くなった口髭に、赤ワインのしみがつくのは威厳にかかわるとして、皇后が飲むのを止めさせようとして、白ワイン用のシャルドネに植え替えさせたのだといいます。　　　　　　　　　　　　　　
この話はいろいろな本に書いてありますし、私も現地のガイドから2度聞かされました。

しかし、実際にシャルドネに植え替えられた時期は、ずっと最近の話で、19世紀の後半のようです。

実は、シャンパーニュのスティル・ワイン(炭酸の泡の入っていないもの)がお気に入りで、愛飲していました。美食が過ぎて長年痛風になやまされていたのですが、新しく主治医の座に着いたファゴン(Fagon)が、痛風の治療に効果があるとして、勧めたのが始まりです。このワインは当時の宮廷内の流行となり、多くの貴族たちもこぞって飲みました。