（3）ブルゴーニュを含めたワインの産地の解説や購入ガイド

---

「Questions of Taste　 The Philosophy of Wine」は2004年バリー・スミスの主催でロンドン大学で行われたはじめてのこの種のシンポジュウムのまとめです。「Wine & Philosophy」も同様の形式をとっています。ギリシャ時代のワインと哲学の関係から始まり、ワイン・ティスティングが゛美的鑑賞の対象になるのかとか、客観的なあるいは科学的な味の評価は可能か、あるいはワイン評論家の役割など興味深い内容があります。「閑話休題」で今回一部をご紹介しました。

イエール・マルグリット氏の本は専門的なもので、このホームページのその部分は、そのまま受け売りです。

フランス･ワイン、特にブルゴーニュ・ワインに特化している評論家としては、クリーブコート(Clive Coates)、アンソニーハンソン(Anthony Hanson)、レミントン･ノルマン(Remington Norman)の３氏が挙げられます。しかしこれらの各氏とて毎年のビンティジをくまなく追及するのは困難なので、お互いに引用しあっていると思われる点が多々あります。この3人はいずれもワイン商人の出身でブルゴーニュの多くのドメーヌと深い人脈のつながりもあり、信用が置けます。特に、クリーブコートはイギリス出身ですが、ここ10数年マコンの近くに居を構えています。

ワイン評論家として著名なのは、米国においてはロバート・バーカー(Robert M. Parker　Jr.．)、英国においては、ヒュー･ジョンソン(Huge Johnson)です。しかしこの両氏は全世界のワイン産地をフィールドにしていますから、ブルゴーニュの多様なドメーヌの状況に精通しているわけではありません。アメリカ市場に輸出しようとすれば、パーカーの高評価を得なければなりませんが、ブルゴーニュ･ワインの本来の特徴が彼の評価基準に合わないため、敢えてそのための迎合をする作り手は少数派です

このサイトを製作するに当たり参照した文献については一部そのページに注記したものもありますが、著者名や題名だけのみのものが大部分でしたので、ここでまとめてご紹介いたします。

(2)  ブルゴーニュ地方の地理や歴史、文化、観光などのガイド

エミール・ペイノー氏は故人ですが、ボルドー大学のワイン学の権威です。フランス語の原文を英語に翻訳したものを読みましたが、文化による表現の違いの難しさが良く分かりました。

料理とのマッチングについては、いくつかの原則はありますが、特定のブランドのワインと料理を直結させるのは難しいと思いました。

ジエフ・コックス氏のものは素人が自宅でワインを作るためのガイドブックです。これを読むと自分でも梅酒のように簡単に作れそうな気になります。アメリカは禁酒法以来の伝統なのか、自家製のワインの製造が盛んのようで、器具から、原料の葡萄まで、良く整備された流通網があるようです。

テロワーの概念自体がブルゴーニュが発祥ですから、どの本も半分以上のスペースをここに割いていますので、大変参考になります。写真も豊富で断層の情報も詳しくのっていますので、クリマの違いもよく理解できます

広域の産地を扱った本では当然ブルゴーニュの取り上げは通り一遍になります。1つのブランドの生産量が数100本から1万本ですので、一般市場で買えるものは限られるため、購入ガイドの取り上げは余計少なくなります。一般的なビンティジの情報くらいしか参考になるものはありません。

（4）テロワーについて

ブルゴーニュのワイン生産はローマによるゴール征服以前に遡れます。中世は修道院の盛んな地域であり、主要な葡萄畑はその所有の下にありました。フランス革命により、分割して一般に払い下げられましたが、ナポレオンの均等相続法により、世代ごとに所有は細分化されていきました。19世紀末のフイロクセラ禍と大恐慌から第2次世界大戦を経て1960年代のワイン不況により零細なワイン農家は打撃をうけ、多くは所有が変わりました。コート・ド・ニュイでは19世紀まで系統をたどれるドメーヌはわずかです。ボーヌの町は大手のネゴシアンが支配していましたので、中世の町並みが良く保護されており、観光的にも見るべきものが沢山あります。コート・ドールは南北50Kmの狭い範囲ですが、鉄道が使えるのはボーヌとニュイ・サン・ジョルジュの間だけで、あとは車が必要です。またソーヌ川とブルゴーニュ・カナルを使って宿泊可能なバージで回ることもできるようです。またサイクリングの適地で専用のガイドブックもありました。　

へ戻る

この3人に加えサザビーのワイン担当役員であるセレナ・ストクリフ(Serena Sutcliff)の書籍を主として参考にしています。

分野として大きく分けますと、以下のようになります。
（1）ブルゴーニュ・ワインそのものの解説

グルメ雑誌や旅行雑誌に時々ブルゴーニュの情報がのることがあります。「Food & Wine」にはさすがに毎号トピックスがのっています。最新のビンティジの情報とか、新刊の書籍の情報を得るのに便利です。

（5）ワインの製造技術やその科学的解説